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東京高等裁判所 昭和61年(行ケ)12号 判決

一 請求の原因一(特許庁における手続の経緯)、二(本願発明の要旨)及び三(審決の理由の要点)の事実は、当事者間に争いがない。

二 そこで、原告主張の審決の取消事由の存否について判断する。

1(一) 成立に争いのない甲第三号証によれば、本願発明は、タイヤの種類等を自動的に判別する方法に関するもので(本願発明の出願公告公報第二欄第五行、第六行)、その技術的課題(目的)、構成及び作用効果は次のとおりであることが認められる。

(1) 従来、タイヤの種類等を自動的に判別する方法としては、<1> タイヤに白、黒、縞又は色の組合わせ記号を持つたテープを貼るか、あるいは直接記号をつけ、これを光学的に検出して判別する方法、<2> タイヤに各種の金属粉を混入したコンパウンド片をあらかじめ押し込んでおき蛍光X線装置により判別する方法、<3> タイヤのリム部径、外径、パターンなどを機械的に検出する方法など各種の方法が試みられているが、<1>及び<2>の方法では、タイヤにテープや記号を付したり、コンパウンド片を押し込む工程を加える必要があるため、タイヤ製造工程が複雑になり、また、光学的に判別する場合は、使用後のタイヤに用いることができず、テープを貼る場合はテープが剥れやすく、コンパウンド片を押し込む場合は異質の材料を埋め込むためタイヤ本来の機能を阻害するおそれがある。<3>の方法では、検出し判別する方法が複雑になるなどの欠点がある(同公報第二欄第一八行ないし第三欄第七行)。

本願発明は、従来技術の前記の欠点を改善し、タイヤの製造工程を複雑化したりタイヤの性能を損なうことなく、いつでも簡単かつ正確にタイヤの種類を判別できるようにすることを目的とする(同公報第三欄第一一行ないし第一五行)。

(2) 本願発明は、前記目的を達成するため、本願発明の要旨とする構成を採用したものである(同公報第三欄第一八行ないし第三六行)。

(3) 本願発明は、前記構成を採用した結果、タイヤの製造工程においては、 タイヤ製造において必須の工程であるグリーンタイヤのモールド内での加硫工程に、さらにマークを付すための新たな工程を加える必要がない、 モールドは、タイヤの種類別に用意されるものであるから、誤つたマークを付す心配がない、 タイヤと同質材料で確実にマークが付される、また、タイヤ自体については、 塗料、油等による汚れによつて判別を妨げられない、 サイド部に凸起をつけることにより摩耗やはがれに強い、 組合わせによるため、無限大に近い設定が可能である、 タイヤ品種のみでなく製造場所、期日などの判別も可能である、 使用後のタイヤについても判別が可能である、 判別に手間を要しない(同公報第八欄第三六行ないし第九欄第一二行)という顕著な作用効果を奏するものである。

(二) 一方、成立に争いのない甲第四号証によれば、第一引用例記載のものは、タイヤ内に電磁作用を受けやすい材料の個別素子を配置して、自動制御システムと容易に統合できるようにされた永久識別システムの形成方法に関するものであつて(第一欄第九行ないし第一五行)、その技術的課題(目的)、構成及び作用効果は次のとおりであることが認められる。

(1) 従来の最も一般的なタイヤの識別法は、タイヤの型枠内にくぼみの形式で数字や文字を刻印し、硬化したタイヤの外表面に数字や文字が浮き上がる方法であるが、このような識別符号では摩耗や老化によりタイヤの識別が不能になる。また、タイヤの型枠内に浮き上がつた数字や文字を形成し、タイヤにくぼんだ識別符号を取り付ける方法も可能であるが、文字が詰まり、タイヤの薄い部分に亀裂が広がる原因となりやすい。さらに、別の方法として、タイヤの連続的な線構造内に永久磁石の磁場変動を示す磁気記号を記録させる方法が開示されているが、このような磁気信号はタイヤが強力な磁場にさらされた場合に減磁したり磁気破壊されたりし、また、記録される情報量も比較的少ないという欠点があつた(第一欄第二〇行ないし第六八行)。

第一引用例記載のものは、前記欠点を改善し、エラストマ部材の構造内に永久に受動的な符号の材質を導入すること、ゴム部材にゴムよりも電磁作用を受けやすい材料を含浸し、タイヤの構造内部又は上部に前記部材を配置すること、タイヤ構造内部又は上部にエラストマセメントの形態の、電磁作用を受けやすい材料を導入することを目的とする(第二欄第二七行ないし第三九行)。

(2) 第一引用例記載のものは、前記目的を達成するため、特許請求の範囲記載のとおり電磁作用を受けやすい物質、例えば常磁性材料の粒子又は誘電性が異なる材料とエラストマ成分とを混合し、その結果生じた混合物をストツク材に処理し、右ストツク材から個別素子を裁断し、右素子が所定の間隔隔絶されたパターンで加硫前のタイヤの側壁構造内に完全に包摂され、かつ、右側壁の周囲に少なくとも一つの列をなすように右素子を配置し、右素子がタイヤの統合部品になるようにタイヤを加硫し、もつて右素子成分が電磁手段によつて検出可能であるような明確な識別システムを作成する各段階より成る方法の構成を採用したものである(第四欄第四二行ないし第六欄第一九行)。

(3) 第一引用例記載のものは、前記構成を採用したことにより、タイヤの構造的な統合性を損なうことなくタイヤ内部又はタイヤ上の情報を物理的に刻印しかつ電磁的に読み出すことができ、さらに、解析度を損なうことなくタイヤの寿命に至るまで耐性のある高性能で破壊されないタイヤの符号識別方法を提供できる(第四欄第二九行ないし第三六行)という顕著な作用効果を奏するものである。

2 前記審決の理由の要点によれば、審決は、第一引用例記載のものを、「各信号位置に相応するパルスを発生させることによつてエレメントの位置及び数を検出してタイヤの種類を判別する」方法であると認定し、右認定に基づいて、本願発明と第一引用例記載のものとは「各信号位置に相応するパルスを発生させることによつて信号発生部材の位置及び数を検出してタイヤの種類を判別する」方法である点で一致していると判断している。

ところで、第一引用例に「各信号位置に相応するパルスを発生させる」ことが開示されていないことは、当事者間に争いがないから、審決のこの点に関する前記認定、判断が誤りであることは明らかである。

しかしながら、審決は、本願発明と第一引用例記載のものとを対比判断するに当たり、相違点(2)として、各信号位置に相応するパルスが本願発明はタイヤの回転速度に合わせて発生されるのに対し、第一引用例記載のものにはこの点が明示されていない点を挙げ、かつ相違点(2)について、「カード読取装置において、各信号位置に相応するパルスをカードの回転速度に合わせて発生させることが第三引用例に記載されているので、読取装置ともいい得る第一引用例記載のものに第三引用例記載の技術を適用して、タイヤの回転速度に合わせて各信号位置に相応するパルスを発生させることは、当業者が格別創意工夫を要することとは認められない。」と認定、判断しているから、第一引用例記載のものが各信号位置に相応するパルスを発生させるものでなくても、第三引用例に審決認定の技術内容が開示され、これを第一引用例記載のものに適用することが当業者において格別創意工夫を要することでないと認められるならば、各信号位置に相応するパルスを発生させる構成を採用することは当業者にとつて容易というべきであるから、結局は相違点(2)についての認定、判断の当否の問題に帰着し、右一致点についての判断の誤り自体が審決の結論に影響を及ぼすとはいえない。

したがつて、前記一致点の判断の誤りを理由として審決の取消しを求める原告の主張は採用できない。

3 次に、原告は、本願発明と第一引用例記載のものとの相違点(1)についての審決の認定、判断は誤りである旨主張する。

まず、審決が引用した周知技術について検討すると、成立に争いのない甲第八号証によれば、周知例1記載のものは、連続工程によつて移動するマーク付ガラス瓶を分類するための方法及び装置に関するものであり、所定の鋳型から排出される瓶の検出を行うとともに、検出した瓶とその他の瓶との分離を能率的に達成することを目的とし、特許請求の範囲記載のとおり、各々の瓶をそれぞれの瓶の製造鋳型に関して識別するために設けられた計数可能なマーク付瓶と、特定の鋳型からの瓶であることを検出するため、各々の瓶のマークを個々に計数するための計数手段と、所定の移動経路に沿つて伝送されてきた右特定の瓶を選択的に経路変更させるように右計数手段に応答する排除手段を具備して成るガラス瓶の分類装置であつて、ガラス瓶の底部に円形又は円弧列に形成された、その製造鋳型に対応した数の突起から成るマークを付け、そのマーク付瓶が計数装置に移送されてきたとき、瓶の突起数を計数することによつて所望の瓶の分離・選択を行うものであることが認められる。また、成立に争いのない甲第九号証によれば、周知例2記載のものは、読取装置に挿入した際に、その挿入形態に関係なく常に正しい読取りが可能な情報伝達方法に関するものであり、情報を0及び1のような二進ビツトで示す場合には、無信号状態と情報0の状態とを区別するために情報に同期したクロツクパルスを生じさせる必要があり、また、情報を数段階の物理量の変化で表す場合には、基準物理量を同時に生じさせる必要があるが、このようなクロツクパルスあるいは基準物理量を同時に伝達する方法を提供することを目的とし、特許請求の範囲記載のとおり、円板の一面に平滑面環帯と凹凸環帯とを交互に設け、右円板の他面にも右凹凸環帯の位置に対応して選択的に凹凸環帯を設け、これら一面と他面の凹凸環帯を挟むように一対の凹凸検出器を設け、右凹凸検出器に対して右円板を定速度で通過させ、右凹凸検出器の出力を対照させて右円板に記憶された情報を読み取る情報伝達方法の構成を採用したものであつて、情報伝達用円板の表裏に凹凸のある環帯を形成し、この凹凸を表裏一体の検出器で読み取るものであることが認められる。

右認定事実によれば、周知例1及び周知例2記載の技術は、信号発生部材として凸起又は凹溝を利用するものということができる。しかしながら、引用例記載のものに周知技術を適用して特許出願に係る発明の構成を得ることが容易であつたと認めるためには、当該周知技術が引用例記載のもの及び特許出願に係る発明の技術分野と同一であるか、あるいは比較的近接した又は類似の技術分野に属し、かつ、技術思想的にこれらの発明に近接し、これと共通の要素を持つものであることを要するというべきである。この点について、前記周知技術をみると、周知例1記載のものは、ガラス瓶の分離・選択の技術分野に、周知例2記載のものは情報記憶媒体の情報伝達読取り装置の技術分野にそれぞれ属するものであつて、第一引用例記載のものや本願発明のようなタイヤ、とりわけタイヤの自動判別の技術分野とは大いにその技術分野を異にし、その属する技術分野において親近性、類似性の認められないものであり、しかもそれぞれの技術的課題とこれを達成するための構成を検討しても、前記認定事実によれば、第一引用例記載のものはタイヤに凹凸を設けると種々の欠点が生じるという技術上の問題点を克服するために、凹凸に代えてタイヤにエレメントを埋め込んだものであるのに対し、周知例1及び周知例2記載のものにはこのような技術的問題はなく、むしろ、これと異なる前記認定の技術的課題を解決するために、積極的にガラス瓶の判別のために突起を設け、あるいは情報読取りのために円板の表裏に凹凸を設ける技術を採用しているものであるから、両者は技術思想的に近接したものとはいえない。

したがつて、タイヤの技術分野における当業者にとつて、第一引用例記載のものに周知例1又は周知例2記載の技術を転用しようとすることは容易に想到し得たことではない。

そうであれば、タイヤの種類を判別するためのマークを、加硫時に、モールドに付した凹部又は凸部によつてタイヤに転写する技術が第二引用例に記載されていても(右事実は当事者間に争いがない)、そのことを理由に、第一引用例記載のタイヤの自動判別方法において、タイヤの種類を判別するための信号発生部材を、凹部又は凸部を付したモールドによつてグリーンタイヤの加硫時に、凸起又は凹溝としてタイヤに転写することは、当業者が格別創意工夫を要することでないとはいえない。

右の点に関し、被告は、本願発明も第一引用例記載のものも、共にタイヤの技術分野と情報処理の技術分野とが密接に結びついた技術であるから、第一引用例記載のものに情報処理の技術分野に属する周知技術を適用しても、そのことによつて審決の結論に誤りありとすることはできない旨主張する。

しかしながら、第一引用例記載のもの及び本願発明と周知例1及び周知例2記載のものとは、技術分野において親近性、類似性を持たないだけでなく、技術思想的に近接したものといえないことは前述のとおりであつて、このような場合にそれぞれ異なる物品に異なる技術的思想に基づいて付した凹凸状態判別の技術を情報処理の技術として一まとめにする技術的必然性を見いだすことはできない。

また、被告は、審決は、第一引用例記載のものを、タイヤのサイドウオール部に機械読み用のマークを付し、それによつてタイヤの種類を判別するタイヤの自動判別方法であると把握し、また、第二引用例記載のものをタイヤのサイドウオール部に一般的な凹部又は凸部から成るマークを(それが機械読み用マークであるか、目視読み用マークであるかを問わず)加硫時にモールドで転写する技術として把握したものであつて、第一引用例記載のものに第二引用例記載の右技術を適用することは技術常識に反することではない旨主張する。

しかしながら、相違点(1)、すなわち、信号発生部材が本願発明は凹部又は凸部を付したモールドによつてグリーンタイヤを加硫するときに転写された凸起又は凹溝であるのに対し、第一引用例記載のものはエレメントであるという相違点を埋めるために審決が引用した周知技術については、これを第一引用例記載のものに転用できないことは前述のとおりであるから、この周知技術を第一引用例記載のものに転用することを前提として、第二引用例記載の加硫時にモールドによつて凹凸を転写する技術を第一引用例記載のものに適用することは(第二引用例記載のもののマークは機械読み用マークであるか、目視用マークであるかについて認定するまでもなく)、その前提において既に誤りであることが明らかである。しかも、第一引用例記載のものは、前述のとおり、タイヤに凹凸を設けると種々の欠点が生じるという技術上の問題点を克服するために、凹凸状の識別符号の付設を排除しているのに、この第一引用例記載のものに第二引用例記載の凹凸状の識別符号を付設しようとすることは、技術常識に反するものといわざるを得ないから、被告の右主張は理由がない。

したがつて、相違点(1)について、第一引用例記載のものに周知技術及び第二引用例記載のものを適用して本願発明の構成とすることは当業者が格別創意工夫を要することとは認められないとした審決の認定、判断は誤りというべきである。

4 また、原告は、本願発明と第一引用例記載のものとの相違点(2)についての審決の認定、判断は誤りである旨主張するので、この点について判断する。

前記審決の理由の要点によれば、審決は、「カード読取装置において、各信号位置に相応するパルスをカードの回転速度に合わせて発生させることが第三引用例に記載されている」と認定している。

そこで、第三引用例記載の技術内容について検討すると、成立に争いのない甲第六号証によれば、第三引用例記載のものは、高速文書読取装置に用いられる改善された計時方式に関するものであつて(第一欄第三五行ないし第三七行)、従来この種の方式は、計時信号が文書送り装置と機械的に結合された計時信号盤のような信号発生装置によつて発生されていたため、計時信号が記録データの線の位置に関係なく発生し、駆動機構内においてカードが滑つたりすると、計時パルス発生装置の動作とカードの運動との間の同期が失われ、データの非感知期間に計時信号が発生するという事態になつて、情報が失われたりする欠点があつた(第二欄第二〇行ないし第三八行)との知見に基づき、情報を打抜孔の形式によつて文書上の線状蓄積位置に記録して成る記録カードの文書読取装置において、右カードを給送するドラムの回転速度に合わせて計時パルスを発生させ、右計時パルスは計数装置で計数され、その計数値の所定の範囲内においてカード打抜孔が感知されると、そこで右計数値はリセツトされて次のカード打抜孔が感知されるまでの計数を再開し、右計数値の所定の範囲外においてカード打抜孔が感知されたときには誤差信号が発生されるようにした計数方式の構成(第三欄第一行ないし第一一行、第二〇欄第一行ないし第一七行等)を採用し、その構成によつて、タイミングは各列でデータ打抜孔が感知される度ごとに改めて再同期化され、あるいは基準状態から再出発されるようにして、この方式自体の公差とカードの打抜孔の公差とが集積されて大きな誤差を招くことを防止し、また、カードの小さい滑り及び傾斜を許容し得るものであり、かつ、あらかじめ選定された従来の許容誤差以上の所定の限度内の公差が許され、右限度を超過する大きな誤差のあるカードを排除するための誤差信号を発生させることが可能である等の作用効果を奏する(第一九欄第四行ないし第一三行)ものであることが認められる。

ところで、前掲甲第三号証によれば、本願発明における、各信号位置に相応して発生するパルスは、タイヤ回転用電動機1の運転によつて駆動されるタイヤ回転量検出用パルス発振器2から出力するパルスであることが認められる。

審決は、第三引用例のどの構成をもつて、「各信号位置に相応するパルスをカードの回転速度に合わせて発生させることが記載されている」と認定したのか明らかにしていないが、第三引用例記載のものの右認定の技術内容からみて、本願発明におけるタイヤ回転量検出用パルス発振器2から出力するパルスに対応する構成としては、カードを給送するドラムの回転速度に合わせて発生する計時パルスが考えられるが、右計時パルスが各信号位置に相応するパルスでないことは当事者間に争いがなく、前掲甲第六号証によれば、ほかに第三引用例に本願発明におけるタイヤ回転量検出用パルス発振器2から出力するパルスに対応する構成が記載されているとは認められない。

右の点に関し、被告は、第三引用例記載のものにおける各信号位置に相応するパルスは、フリツプ・フロツプ180がセツトされたときにフリツプ・フロツプ180が出力するパルスである旨主張する。

しかしながら、前掲甲第三号証及び第六号証によれば、第三引用例には、フリツプ・フロツプ180がセツトされたときにフリツプ・フロツプ180が出力するパルスが各信号位置に相応して発生するパルスであることは記載されていないだけでなく、本願発明における各信号位置に相応して発生するパルスは、タイヤに付した凸起又は凹溝の検出出力と協同して、凸起又は凹溝が形成された位置及び凸起又は凹溝の数を検出して電気信号に変換するものであるのに対し、第三引用例記載の前記フリツプ・フロツプ180が出力するパルスは、カードに設けられた打抜孔の正規の位置からの偏りを検出するのに用いられているものであつて、このパルスがカードの打抜孔の検出出力と協同して、右打抜孔の位置及び数を検出して電気信号に変換しているものではないことが認められるから、第三引用例記載のものにおけるフリツプ・フロツプ180がセツトされたときにフリツプ・フロツプ180が出力するパルスの機能は、本願発明における各信号位置に相応して発生するパルスの機能と相違することが明らかであり、これをもつて本願発明における各信号位置に相応して発生するパルスに相当するということはできない。

したがつて、第三引用例に、「各信号位置に相応するパルスをカードの回転速度に合わせて発生させることが記載されている」とした審決の認定は誤りであり、右誤つた前提に基づいて本願発明の相違点(2)の構成、すなわち「各信号位置に相応するパルスがタイヤの回転速度に合わせて発生される」構成とすることは、当業者が格別創意工夫を要することとは認められないとした審決の判断は誤りというべきである。

5 以上のとおりであるから、審決は、本願発明と第一引用例記載のものとの相違点(1)について、審決認定の周知技術及び第二引用例記載のものを第一引用例記載のものに適用することが容易であるとした点において認定、判断を誤り、かつ、相違点(2)について、第三引用例記載の技術内容を誤認したものであり、その結果本願発明は第一引用例ないし第三引用例記載のもの及び従来周知の技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと誤つて判断したものであるから、違法であつて、取消しを免れない。

三 よつて、審決の違法を理由にその取消しを求める原告の本訴請求は正当としてこれを認容することとする。

〔編註その一〕 本願発明の要旨は左のとおりである。

あらかじめタイヤのサイドウオール部相当部分に複数の凹部又は凸部を付したモールドでグリーンタイヤを加硫してこの凹部又は凸部を凸起又は凹溝としてタイヤに転写することにより、検出時のタイヤの回転速度に応じた一定間隔でタイヤの円周方向に沿つて定められている信号位置からタイヤの種類によつて選んで一列又は複数列に前記凸起又は凹溝をタイヤの種類によつて定められた数だけタイヤ円周方向に沿つて形成したタイヤを回転させつつ凸起又は凹溝を、凸起又は凹溝が一列の場合には当該列に沿つてまた凸起又は凹溝が複数列の場合には各列ごとに沿つて検出する一方、他方では各信号位置に相応するパルスをタイヤの回転速度に合わせて発生させることによつて凸起又は凹溝が形成された位置及び凸起又は凹溝の数を検出して電気信号に変換し、あらかじめタイヤの種類によつて設定された電気信号と比較することによりタイヤの種類を判別することを特徴とするタイヤの自動判別方法(別紙図面(一)参照)。

〔編註その二〕 本件に関する図面は左のとおりである。

別紙図面(一)

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別紙図面(二)

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別紙図面(三)

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別紙図面(四)

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